今週のことば
『心身一如(しんしんいちにょ)』
心と身体は、別々のものではなく、深いところでつながっている。心身一如とは、そんな様子を表す言葉です。
朝から気持ちが沈んでいると、身体まで重く感じることがあります。反対に、窓を開けて新鮮な空気を吸い、ゆっくり身体を動かすと、心にも少し明るさが戻ってくることがあります。心と身体は、いつも静かに声を掛け合っているのでしょう。
法華経の教えにも、人の命を分け隔てず、その一人ひとりの中に尊いものがあるという温かなまなざしがあります。今週は、心と身体の小さな変化に気づきながら、無理をせず、自分をいたわる時間を味わってみましょう。
やさしい解説
私たちは、ときどき心の疲れを見ないふりをしてしまいます。家族のこと、仕事のこと、これからの暮らしのこと。考えることが重なると、知らないうちに肩に力が入り、呼吸も浅くなります。眠りが浅かったり、食事が進まなかったりすることもあります。
そのようなとき、「もっと頑張らなくては」と自分を急かすより、「今日は少し疲れているのだな」と気づいてあげるだけで、心に余白が生まれます。温かいお茶を一口飲むこと、ゆっくり息を吐くこと、早めに横になることも、自分の命を大切にする小さな行いです。
心身一如という言葉は、いつも元気でいなければならないという意味ではありません。悲しい日も、何もしたくない日も、そのままの自分を受け止めることです。心が曇る日があっても、空の上には変わらぬ光があります。私たちの内にも、静かに灯り続けるものがあります。
一人で抱えているように思えるときも、家族や友人、これまで出会った人々の温かさは、心のどこかに残っています。野の花や木々の姿、朝夕の光も、言葉のないまま私たちを見守っています。あなたは一人ではありません。急がず、少しずつでよいのです。
実践ヒント
① 朝、目を覚ましたら、すぐに一日を急がず、布団の中でゆっくり息を吐いてみてはいかがでしょうか。肩や背中の力が抜けるのを感じながら、「今日も目を覚ますことができた」と、そっと自分に声を掛けます。身体の具合に合わせて、無理のない一歩を始めれば十分です。
② 人と話すときは、相手の言葉を急いで受け止めようとせず、まず一呼吸置いてみるのもよいでしょう。散歩の途中で風に揺れる葉を眺めたり、季節の匂いを感じたりすることも、心と身体をつなぐ時間になります。自然の中に身を置くと、自分も大きな命の流れの中にいるのだと思えてきます。
③ 一日の終わりには、できなかったことより、できたことを一つ思い出してみましょう。湯船で身体を温めながら、「今日もよく過ごしました」と自分をいたわるのもよい方法です。眠る前に心配ごとが浮かんできたら、今夜すぐに答えを出さなくてもよいと、そっと手放してみます。
日々の暮らしに一言
夕暮れどき、窓の外の空が少しずつ色を変えていきます。忙しかった一日も、楽しかった一日も、やがて静かな夜へ向かいます。その変化を眺めていると、心の中にあった細かな思いも、夕空の中へゆっくり溶けていくように感じられます。
身体が疲れているとき、心もまた休みを求めています。心が寂しいときには、身体を温め、安心できる場所で過ごすことが支えになります。どちらか一方を無理に変えようとしなくても、温かい食事や穏やかな会話、深い呼吸が、少しずつ全体を整えてくれます。
今日の自分を、誰かと比べなくても大丈夫です。長い人生を歩んできた身体には、たくさんの思い出と働きが刻まれています。その歩みを慈しみ、今ここにいる自分を静かに認めるとき、心と身体はふたたび寄り添い始めます。見守ってくれる人への感謝を思い浮かべることも、自分の命を見つめ直すひとときになるでしょう。
「心と身体の声に耳を澄まし、今日の自分をやさしく抱きしめます」
ごあいさつ
今週も「法華経と仏教のことば」をお読みいただき、ありがとうございました。
来週も、身近な暮らしの中にある小さな気づきと、心を温める言葉をご一緒に味わえましたら幸いです。どうぞ今夜はゆっくりとお休みください。

